鋳物の歴史~挫折、新たな発展、そして持続可能な社会を支えつづける~ VOL.3

鋳物の歴史

近代工業化の波は、鍋や釜といった日用品としての鋳物を、時代遅れのものとして追いやってゆきます。その一方で、近代の金属鋳造技術は大きな進歩を遂げます。

古代から続く砂や蝋を型材に使う技法とは大きく異なり、金属の型にアルミニウムなどの素材を機械的に高圧で流し込み、大量に精密部品をつくるアルミダイカストも、鋳物の一つです。

日本では、第二次大戦期に主に軍用航空機エンジンの需要を中心にピークに達しましたが、敗戦でこの用途は壊滅します。

しかし戦後は、まずカメラ、家庭電器用といった民間用途で需要が復活します。そして1960年代に入ると、自動車産業が発展するに従い、急激な需要の拡大と進歩を見せます。エンジンの主要構成部品であるエンジンブロック、クランクケース、ミッションケースなどにはこの技術が使われています。

現在の日本の全産業のアルミダイカスト需要の中で、自動車の比率は約9割と言われています。

VOL.4へ続く