鋳鉄鋳物とは?~その種類や特徴について~

鋳鉄鋳物とは?

鋳鉄鋳物(ちゅうてついもの)とは?

鋳鉄鋳物(ちゅうてついもの、英: cast iron casting)は、鋳鉄(cast iron)と呼ばれる合金を使用して製造される製品や部品のことを指します。 鋳鉄は鉄と炭素の合金であり、学術・産業上は、炭素Cを2.14-6.67%、ケイ素Siを約1-3%の範囲で含む鉄Feの三元合金からなる炭素を多く包含する鋼の意味です。

鋳鉄は、その耐久性、耐熱性、耐摩耗性、および比較的コストが低いため、多くの産業で広く使用されています。
鋳物,タイ,ベトナム

橋材

鋳物,タイ,ベトナム

フライパン(スキレット)

鋳物,タイ,ベトナム

排水管継手(パイプ)

一般的な鋳鉄鋳物の製品の例

  1. マニホールドカバー:道路や下水道のマニホールド(点検口)に使用され、通行車両の重さに耐えるために頑丈な鋳鉄が使用されます。
  2. 鋳鉄製バルブ:鉄道、流体制御、ガス供給、水道などで使用されるバルブの部品となります。
  3. エンジンブロック:自動車や船舶のエンジンに使用され、高い耐久性が必要な部品です。
  4. 鉄道用ブレーキディスク:列車のブレーキシステムに使用され、高温に耐える必要があります。
  5. 鉄道用レール:鉄道トラックに設置され、列車の走行に耐える頑丈なレールとなります。
  6. 鋳鉄製排水溝:道路や舗装路面の排水システムで使用される排水溝の部品です。
  7. 鋳鉄製フライパン:調理器具として使用され、熱伝導性と熱保持性に優れています。
  8. 鋳鉄製装飾品:芸術作品や建築物の一部として使用され、美しいデザインが施されることがあります。
  9. 汽船のプロペラ:船舶の推進力を提供するために使用される大型のプロペラです。

これらは一般的な鋳鉄鋳物の例であり、その他の用途や製品もあります。鋳鉄はその特性に応じて異なる種類に分類され、それぞれ異なる用途に適しています。

例えば、ねずみ鋳鉄、球状黒鉛鋳鉄、白鋳鉄などがあり、それぞれ異なる物性を持っています。
適切な鋳鉄の種類を選択することで、製品や部品は特定の要件を満たすことができます。

ねずみ鋳鉄、球状黒鉛鋳鉄、白鋳鉄とは?

ねずみ鋳鉄(Gray Cast Iron)

ねずみ鋳鉄は、鋳鉄の一種で、その表面に灰色または灰白色の外観が特徴です。
ねずみ鋳鉄は、炭素含有率が2%以上であり、シリコンとマンガンなどの合金元素が含まれています。

主な特徴として次の点が挙げられます:

  1. 機械的性質:ねずみ鋳鉄は割れにくく、耐摩耗性に優れており、振動に対しても強い性質を持っています。これらの特性は、エンジンブロックやシリンダーヘッドなどの自動車エンジン部品に適しています。
  2. 低コスト:鉄鉱石から容易に製造でき、比較的低コストで提供できるため、多くの一般的なアプリケーションで使用されています。
  3. 耐熱性:ねずみ鋳鉄は一般的には高温に耐える能力がありますが、その性能は他の鋳鉄種と比べるとやや劣ります。

球状黒鉛鋳鉄(SpheroidalGraphiteCastIron、SGIronまたはDuctileIronとも呼ばれます)

球状黒鉛鋳鉄は、鉄と炭素の合金であり、特定の冶金学的処理によって球状の黒鉛グラファイト粒子が微細なマトリックス中に分散した材料です。
この黒鉛の形態は、鋳造材料の特性を大幅に向上させ、鋳鉄の高強度と優れた靭性を提供します。

以下は球状黒鉛鋳鉄の特徴と用途のいくつかです:

  1. 高強度と靭性:球状黒鉛鋳鉄は、通常の灰鉄(白鉄)に比べて高い引張強度と靭性を持っています。このため、部品や構造物の要求される強度と耐久性が高い場所で使用されます。
  2. 耐摩耗性:球状黒鉛鋳鉄は、高い耐摩耗性を持ち、摩擦や摩耗が問題となるアプリケーションに適しています。これは、ポンプ、バルブ、エンジン部品などの製造に役立ちます。
  3. 耐蝕性:一部の球状黒鉛鋳鉄合金は、化学的な腐食に対しても耐性を持っており、化学プラントや海水環境などで使用されます。
  4. 低温特性:低温での靭性を維持する優れた特性を持つため、冷凍装置や寒冷地での機械部品にも適しています。
  5. 高温特性:一部の特殊な球状黒鉛鋳鉄合金は、高温環境で安定性を維持し、炉、熱交換器、高温弁などの高温アプリケーションに使用されます。

球状黒鉛鋳鉄は、その優れた機械特性と多様な用途のために、自動車産業、建設業、エネルギー産業、農業機械、鉄道車両、航空宇宙産業など幅広い分野で広く使用されています。この材料は、その強度、靭性、および耐久性のために、多くの要求の厳しい環境で重要な役割を果たしています。

白鋳鉄(WhiteCastIron)

白鋳鉄は、鋳鉄の一種で、非常に高い炭素含有率(通常4%以上)を持つことが特徴です。
白鋳鉄は、急冷却されることで白色の炭化物(セメンタイト)が形成され、非常に硬い材料となります。

主な特徴として次の点が挙げられます:

  1. 高硬度:白鋳鉄は非常に硬く、耐摩耗性が非常に高いため、摩耗に対する抵抗力があります。これは、鉱山の破砕機、ボールミルのボール、歯車などの耐摩耗部品に使用されます。
  2. 脆性:白鋳鉄は非常に脆い材料であるため、衝撃や振動には弱いです。そのため、高い硬度を持ちながらも靭性は低いと言えます。

これらの鋳鉄の種類は、それぞれ異なる物性を持ち、特定の用途に適しています。適切な鋳鉄の種類を選択することは、製品や部品の性能を最適化するために重要です。


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