鋳鉄と鋳鋼の違い 鋳鉄と鋳鋼の違い

鋳物は溶けた鉄を型に流し込んで作られます。
主な鉄材料には、鋳鋼(ちゅうこう)と鋳鉄(ちゅうてつ)があります。
ここでは、鋳鋼と鋳鉄の違いについて説明します。

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炭素(黒鉛)の含有量

炭素(黒鉛)の含有量
鋳鉄と鋳鋼を外観で判断するのは難しいですが、 鋳鉄は鋳鋼よりも炭素(黒鉛)を多く含んでいることが大きな違いです。
より正確に言うと、炭素を2.1%以上含むものを鋳鉄、2.1%以下のものを鋳鋼と呼びます。

鋳鉄の種類

炭素(黒鉛)を多く含む鋳鉄は、含まれる黒鉛組織の形により、大きく3つの種類に分類されます。

① ねずみ鋳鉄(FC)や片状黒鉛鋳鉄
② CV鋳鉄(FCV)
③ 球状黒鉛鋳鉄(FCD)やダクタイル鋳鉄

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鋳鋼の種類

黒鉛の含有量が少ない鋳鋼は、鋳鉄に比べて、強度・引張強度が高い傾向にあり、炭素以外の合金元素を含むかどうかによって、大きく2つに分類されます。

① 普通鋳鋼(炭素鋼鋳鋼)
② 合金鋼(合金鋼鋳鋼)

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強度と引張強度

強度と引張強度
炭素は鋼を硬くし、引張強度を大きくする一方、伸び能力が低下し、粘り強さが低下する性質があります。
炭素含有量が高い鋳鉄は、硬く、圧縮には強いですが、衝撃に対して弱く、割れやすい傾向にあります。
一方で、炭素含有量が低い鋳鋼は、柔軟性や衝撃耐性が高い傾向にあり、溶接も可能です。

耐食性

耐食性
黒鉛は耐食性に優れており、黒鉛量の多い鋳鉄は耐食性に優れています。
一方、鋳鋼は鋳鉄に比べて耐食性低く、腐食防止のために表面処理などを行う場合があります。

加工性・主な用途

加工性・主な用途
鋳鉄は硬く、圧縮に強い切削加工に向いており、耐摩耗性や耐熱性を重視する、自動車や鉄道などのエンジン部品、下水管、フライパンなどの調理器具などに活用されています。
しかし、脆いため、複雑な加工には不向きです。
鋳鋼は柔軟性や衝撃耐性が高いため、機械部品、構造物、車両部品などに活用されています。

まとめ

  鋳鉄(ちゅうてつ) 鋳鋼(ちゅうこう)
炭素(黒鉛)の含有量 2.1%以上 2.1%以下
強度 高い 低い
引張強度 高い 低い
耐食性 高い 低い
耐摩耗性 高い 低い
耐熱性 高い 低い
柔軟性 低い 高い
衝撃耐性 低い 高い
主な用途 自動車や鉄道などのエンジン部品、
下水管、調理器具など
機械部品、構造物、車両部品など

鋳鉄は硬くて脆い一方、耐食性・耐摩耗性に優れ、加工しやすい一方、鋳鋼は強度や靭性に優れ、柔軟性や衝撃耐性が高く、溶接しやすい特長があり、用途に応じて、鋳鋼と鋳鉄どちらを選ぶかが決まります。


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